2019年2月11日月曜日

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過去のフィリップモリスを今のアルトリアと同じとは考えないこと_事業構成が異なる


シーゲル派信仰の米国株投資家がフィリップモリスでよく言うセリフ。

①「タバコ規制で株価が下がっても、過去の巨大訴訟に比べれば大したことない」
②「高配当が維持され、規制で株価は抑えられており、再配当投資環境に適している」

本当にそうだろうか?
考えてみる。

①No。
巨額訴訟時代とは事業構成が異なるため、リスクは大きくなっている。
しかし、タバコ企業は社会の必需品(嗜好品)となっていること、そして寡占市場となっているため、破綻リスクを考えても意味がないと思う。(国営化のリスクもあるから断言はできないが、アルトリアに代わる企業が想像できない)。

過去の巨額訴訟時のフィリップモリスと現在のアルトリアは、企業のスピンオフもあり別物の企業と考えたほうが良い。
巨額訴訟の時代のフィリップモリスは、現在のアルトリア・フィリップモリスインターナショナル・クラフト(当時はハインツとは合併していない)・モンデリーズインターナショナルの4つの企業の組み合わせである。
当時のフィリップモリスを再現するなら、現在は上記の4銘柄に投資をすることになる。
これは、逆に言うとアルトリア銘柄に投資するということは、米国のタバコ事業に専念投資、それだけ投資リスクが分散していないことを意味する。

巨額訴訟時のフィリップモリスは、米国内外のたばこ事業を展開しており、それ以外にも加工食品事業(クラフトフーズなどが有名)も展開していたため、事業の分散リスクがされていた。しかし、現在のアルトリアだけに投資してれば、その当時の事業分散リスクほどの分散度はない。現在のたばこ事業以外はワイン事業とビール事業投資程度で事業規模は相対的に小さい。

そして、現在のアルトリアは紙巻きタバコから電子タバコ(もしくは加熱式タバコ)への変革の最中である。これは、昔で例えるなら、噛みタバコ、嗅ぎタバコから紙巻きタバコへ変革したぐらいのインパクトがある。

②Yes。
配当は増配基調で、株価は長期的にはゆるやかに上昇している。
しかし、ダウ指数には完璧に負けている(配当は加味せず)



2008年頃に、フィリップモリスがアルトリア(青線)とフィリップモリス・インターナショナル(水色線)とにスピンオフされた際の両銘柄の株価チャートである。
ダウ指数が赤線である。
直近の約10年間で見れば、アルトリアの株価はダウ指数に比べればゆるやかに上昇しているが、ダウ指数では5倍以上の開きがでた。
直近の10年間の投資で、ダウ指数に投資していたほうがキャピタルゲインの成果は、アルトリア銘柄よりもあったことになるが、株価の変動は過去10年緩やかだ。
数か月、数年単位でみれば10%以上の下げはあるが、長期投資家なら気にしない。

タバコ銘柄は、株価の上下よりも配当目当てで再配当投資するのが多分正解だと思わせる株価チャートである。




タバコ銘柄に関して極論すれば、今後参加企業が増える見込み(新興企業は買収される)はないこととから、フィンテックや仮想通貨などに比べ、はるかに安定(ブルーオーシャン)した投資環境に見える。
  • 米国内ではアルトリアとBTIのデュオポリ状態
  • 米国と中国外の国際市場では、フィリップモリス・BTI・JT・Imeprial
タバコを吸い始めても、すぐには肺がんにならないように、アルトリア銘柄に投資しても、すぐにはお金持ちにはなれない。
タバコを十数年吸い続けて、肺がんになってタバコ止めておけばよかったと後悔するか、アルトリア配当を十数年吸い再投資続けて、資産を築いてタバコ投資やって良かったと思うか、どっち?







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